1978年版を考察

◆1978年のカード事情
 収集家泣かせの78年版。この年は、通し番号が無い。セリーグ6球団しか発行していない。なぜ、こんなことになっているのか?

◆球団別選手数調査
 全貌は、まったくわからない。インターネットとかで調べると、約600枚が発行されているとのこと。水島さんの息子さんは、コンプリートしているのだろうか?
 で、この年は、調査できない。プロ野球カード収集家のバイブルである“カルビープロ野球カード1973 森美憲 著”を見ると、大きく分けて9シリーズあるという。それぞれ数枚紹介するとして、次に進もう。

@「78年ペナントレース特集」
 78年カードの最初に発行されたシリーズ。カードは、この年の開幕シリーズの対戦ごとに作られていると思われる。ちなみに、開幕戦は、巨人対阪神、ヤクルト対広島、中日対大洋。表面には、「78年ペナントレース特集 月日 対戦カード」が記載されている。また、この他にも、「78年ペナントレース特集」のみ、記載されているものも存在している。

左から
4月1日 巨人−阪神 中村勝広(阪神)
4月2日 ヤクルト−広島 高橋慶彦(広島)
4月2日 中日−大洋 高木守道(中日)
 いずれも、「78年ペナントレース特集 月日 対戦カード」が記載


4月4日 阪神−ヤクルト 山本和行(阪神)表面文字は「78年ペナントレース特集」のみ

A「表面中央選手名あり・球団名あり」
 78年の2つ目のシリーズ。カード中央下部に選手名と球団名が記載されている。私が所持しているのは、このAのタイプが一番多い。
 
左から
柳田真宏(巨人)              (裏面)
斉藤明雄(大洋)

 なお、このシリーズには、様々なバリエーションの存在が知られている。よくあるのは、表面の写真が同じで、裏面の文章が異なるパターンA、逆に、表面の写真は異なるが、裏面の文章は同じというパターンB。それぞれ、紹介しておこう。
 
左から                 左から
張本勲(巨人)             張本勲(巨人)(裏面)
張本勲(巨人)             張本勲(巨人)(裏面)    パターンA

 
左から                   左から
古澤憲司(阪神)              古澤憲司(阪神)(裏面)
古澤憲司(阪神)              古澤憲司(阪神)(裏面) パターンB

 その他、表面の写真、裏面の文章は同じであるが、その文章の日付にルビがあるものとないものが存在している。これを、パターンCとして紹介しよう。
 
上から             左から
高木守道(中日)        高木守道(中日)(裏面)
高木守道(中日)        高木守道(中日)(裏面)

 
左から
高木守道(中日)(裏面拡大)4月5日 ルビなし
高木守道(中日)(裏面拡大)4月5日 ルビあり                  パターンC

B「表面すみ選手名あり・球団名あり」
 Aとともに、多く所有している。
 
左から
鈴木康二朗(ヤクルト)            (裏面)
正岡真二(中日)

C「王800号 限定特刷版」
 このシリーズのみ、裏面に通しナンバーがある。内容は、王貞治選手が800号を放った時の時間ごとの詳細な記録を掲載している。例えば、bQでは、午後6時40分 第一打席の様子が細かく記載されている。“第一打席。気負ったようすは見られず10回ぐらいの素振りをくりかえしてボックスへ。…”。bXでは、午後8時12分 “第三打席。ホームイン。…”。てな具合だ。ナンバー1から20まで発行されていることが確認されている。
 
左から
王800号 bQ
                      王800号 bX(裏面)
王800号 bX

D「表面選手名なし・チーム本塁打新記録 豪打! 赤ヘル」
 シリーズのタイトル通り、広島東洋カープは、この年、年間205本塁打を記録しており、現在でも、球団記録として残っている。選手別では、山本浩二(44本)、ギャレット(40本)、ライトル(33本)、衣笠祥雄(30本)、水谷実雄(25本)、…。ちなみに、日本記録はというと、2004年の巨人の259本。
   
左から
水沼四郎(広島)                  水沼四郎(広島)(裏面)
高橋慶彦(広島)


E「表面選手名あり・球団名なし」

 シーズン終了後に発売されたシリーズ。表面すみに選手名が記載されている。裏面を見ると、田淵選手の場合は、本塁打王のタイトルを逃したことが記載されている。なお、タイトルを獲得した選手は、表面にタイトル名も記載されている。
 
左から
田淵幸一(阪神)                   田淵幸一(阪神)(裏面)
水谷実雄(広島)首位打者

F「表面V1・選手名あり・ヤクルトスワローズ」
 おそらく、セリーグ優勝してから急いで発行されたカード。ただし、裏面の文章を見ると、まだシーズンが終了していないような節が読み取れる。文字は白字のものと黒字のものがある。
 
左から
若松勉(ヤクルト)                 (裏面)
角富士夫(ヤクルト)

G「ヤクルト初優勝29年目の栄光」
 タイトル通り、29年ぶりにセ・リーグ優勝したヤクルトスワローズを特集して設けられたシリーズ。表面には、赤枠、緑枠、青枠の3種類の色がある。裏面には、大きな字で、「ヤクルト初優勝 29年目の栄光」と記載されている。
  
左から
ヤクルト初優勝 29年目の栄光(表面 赤枠)杉浦享、大矢明彦 (裏面)
ヤクルト初優勝 29年目の栄光(表面 緑枠)松岡弘
ヤクルト初優勝 29年目の栄光(表面 青枠)安田猛

H「1978・日本シリーズ」
 日本シリーズの場面の写真を使用して作成されたシリーズ。私が所持しているのは、第1戦、第2戦のみ。第3戦以降は発行されているのだろうか?
 結果は、ヤクルトの4勝3敗で、阪急を破って見事、球団史上初の日本一となった。
 
左から
大杉勝男(ヤクルト)             (裏面)
松岡弘(ヤクルト)

◆1978年シーズンを振り返って
 広岡監督率いるヤクルトが初制覇。日本シリーズでは、上田監督率いる阪急を4勝3敗で破って日本一。後世に語り継がれることは、シリーズ第7戦で大杉選手が放った疑惑の本塁打。あれで、試合が1時間19分も中断したんだから驚く。

bネし 大杉勝男(ヤクルト)左:表面 右:裏面


◆変わったカードも紹介
 ヤクルトスワローズのチームカード。写真は、マウンド付近に広岡監督、森コーチが駆け付けたところ。
     
ヤクルトスワローズ(表面)    (裏面)

 今度は、横浜戦のシーンがカードになった。ミヤーンが1塁に送球するところにヒルトンがそれを阻止しようとしてスライディングをしたシーン。
       
大洋VSヤクルト(表面)     (裏面)

 最後に、ユーモラス。何でヤクルトのマスコットだけカードになったのか? よくわからん。
左に写っているのは、柴田(巨人)。

ユーモラス ヤクルトVS巨人

 この年の野球界は、シーズンの結果よりも、江川事件のほうが大きかった。
 結局、巨人は江川を入団させるために、小林繁を阪神へトレードという形で決着させた。

◆1978年版カード収集について
 初めから、コンプリートなんて無理だし、全貌だってわからないんだから、これでよし。
 まったく、この年に限っては、カルビーさんは、パ・リーグ軽視だな。

◆その他のトピックス
 1978年ファーストカードを追え
 1978の景品
 詳細リスト(試行錯誤中)

 プロ野球カードを語るへ

 トップページへ


inserted by FC2 system