プロ野球カードを語る

東北楽天ゴールデンイーグルス
　２００５年にできた新興球団。選手の大半は、オリックス、近鉄の主力メンバーから外れた選手たちばかり。それでも、レギュラーとして活躍していた磯部、エースだった岩隈等が加わったため、それなりにた戦えるだけの戦力が整ったかに思えた。しかし、１年目は田尾監督のもと、断トツの最下位。２年目は、野村監督となって、徐々に力を付け、ＣＳにも出場できるまでに成長した。
　カードとしては、全選手紹介できるはず。

◆チーム名称の変遷
東北楽天ゴールデンイーグルス（2005年 - ）

◆年代別考察とカード化された選手について
２００５年（礒部公一、鷹野史寿、大島公一、戸叶尚、川尻哲郎、金田政彦、岩隈久志、吉岡雄二、高須洋介、一場靖弘、ロペス、小山伸一郎、ホッジス、山﨑武司、関川浩一、沖原佳典、中村武志、福盛和男）～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

◆１　礒部公一
近鉄（９７③～０４）－楽天（０５～０９）
１３１１試合　１２２５安打　９７本塁打　５１７打点　５５盗塁　打率.２８１
ベストナイン１回　オールスター２回
▽２００４年に起きた球団合併問題に近鉄最後の選手会長として合併阻止に動いたが、結果として合併は覆らず、オリックス側のプロテクトを拒否して楽天に移籍した。２００５年開幕のロッテ戦には六番ライトでスタメンで出場したが、開幕から１６打数ノーヒットに終わる。仙台での開幕戦では、田尾監督の意向により一番ライトで出場、西武先発岡本篤のフルカウントからのストレートをバックスクリーンに放り込み、初の開催試合をシーズン初安打となる先頭打者本塁打で飾った。結局、初年度は主に五番に座りチーム二位の１６本塁打をマーク、２００７年までレギュラーとしてプレーしていた。２００９年に引退した後は一度もユニフォームを脱がずにコーチを務めている。（Ｈ）

左から
０５年　№３１（楽天移籍後最初のカード）
０５年　№１１０
０５年　Ｓ１１

◆２　鷹野史寿
近鉄（００⑥～０４）－楽天（０５～０８）
４７７試合　２７８安打　３６本塁打　１４４打点　５盗塁　打率.２７０
▽２００４年まで近鉄でプレー、球界再編により楽天に移籍する。創設初年度は自己最多９０試合、７本塁打を記録した。２００６年には左膝の手術、リハビリにより一軍には出場しなかったが、２００７年には復帰し、野村監督に代打でよく起用されていた。２００８年限りで自由契約となり、現在は球団職員兼ジュニアコーチを務めている。（Ｈ）

０５年　№３２（楽天移籍後最初のカード）

◆３　大島公一
近鉄（９３⑤～９５）－オリックス（９６～０４）－楽天（０５）
１３７５試合　１０８８安打　２４本塁打　３３４打点　７１盗塁　打率.２６１
ベストナイン２回　ゴールデングラブ賞３回　日本シリーズ優秀選手賞１回　オールスター１回
▽近鉄、オリックスでプレーし、２００４年の球界再編騒動により分配ドラフトで楽天に移籍。二遊間は高須、酒井で固まっていたが、７月２日には日ハムのリリーフエース横山から逆転サヨナラタイムリー、同月29日には西武の大沼から延長１１回に決勝の代打ツーランを放つなど後半戦は代打で活躍していた。初年度限りで現役を引退、現在はオリックスのコーチを務める。
（Ｈ）

０５年　№３３（楽天移籍後最初のカード）

◆４　戸叶尚
横浜（９３⑤～００）－オリックス（０１～０４）－楽天（０５～０６）
２５２試合　３２勝　３５敗　０Ｓ　１Ｈ　防御率４.７２
▽横浜、オリックスでプレーし、２００４年には中継で４０試合に登板しているが分配ドラフトで楽天に移籍した。移籍後は開幕から出遅れたが、後半戦一軍に合流し、九月にはプロ初ホールドを記録している。しかし、翌年は精巣ガンが発覚し手術。同年オフに戦力外となり、現在は横浜市でかつてのチームメート斉藤秀光とボーイズリーグの運営に参加している。派手な外見が印象的だった。（Ｈ）

０５年　№３４（楽天移籍後最初のカード）

◆５　川尻哲郎
阪神（９５④～０３）－近鉄（０４）－楽天（０５）
２２７試合　６０勝　７２敗　３Ｓ　０Ｈ　防御率３.６５
月間ＭＶＰ２回　オールスター１回　ノーヒットノーラン１回
▽阪神、近鉄でプレーし、球界再編により分配ドラフトで楽天に移籍。近鉄時代は在籍期間が短かかったが、登板日の登板直前まで合併阻止の署名活動に参加することもあった。楽天移籍後はほとんど登板機会のないまま一軍昇格後すぐにオリックス相手に先発し、七回四失点と粘投する。しかし、その後中継ぎで一試合投げただけで降格、そのまま戦力外となる。高村や小林宏もわずかな登板で見切られたが、川尻の場合先発で結果を残しただけに不可解な起用であった。その後、会社員や解説者を務め、１３年からＢＣリーグ群馬投手コーチ、１４年から同チーム監督を務めている。（Ｈ）

０５年　№３５（楽天移籍後最初のカード）

◆６　金田政彦
オリックス（０３②～０４）－楽天（０５～０６）
２４４試合　５２勝　６５敗　１Ｓ　０Ｈ　防御率４.１６
最優秀防御率１回　月間ＭＶＰ１回　オールスター２回
▽大分県出身。オリックスで１２年プレーした後、球界再編による分配ドラフトで楽天に移籍。創設初年度には先発で３勝（６敗）をマーク、１１連敗中のチーム状況で松坂に投げ勝って連敗を止めた１勝目、ロッテの連勝を１０で止めた２勝目、当時セ・リーグ首位の阪神に投げ、球団史上初の４連勝を記録した３勝目など貴重な勝ちが多かった。ケガで０６年に戦力外となり引退、一年間ソフトバンクの打撃投手を務めた後会社員に転身している。元オリックスの星野伸之にタイプがよく似ていた。（Ｈ）

０５年　№３６（楽天移籍後最初のカード）

◆７　岩隈久志
近鉄（００④～０４）－オリックス（０４）－楽天（０５～１１）
▽近鉄でプレーしていた２００４年に球界再編問題が勃発し、オリックスにプロテクトされるが、近鉄側からは事前に自由意思での移籍を容認されていたこともあり、楽天へのトレードの形で移籍する。移籍一年目から右肘の故障もあり三年間低迷したが、２００７年のオフに右肘のクリーニング手術を行い復活、２００８年には２１勝をあげ沢村勝、ＭＶＰを獲得した。この時期には決め球を落ちるスライダーからフォークに変えていたが、ラグビーのボールを使った投球練習を行うことで、右肘を高く上げて投げ下ろすフォームを習得し、フォークの威力が格段に増したという。野村監督からは百球肩、限界を感じると自ら降板を申し出るなどとボヤかれてはいたが、怪我のケアによる球数の制限を医師からの進言で野村監督も認めており、実際にはかなり岩隈に配慮した起用をしていた。２０１２年にマリナーズに移籍したが、楽天在籍時にあげた６５勝は球団歴代２位勝利数。（Ｈ）

左から
０５年　Ｂ１（楽天移籍後最初のカード）
０５年　№１１２
０５年　ＯＰ６

◆８　吉岡雄二
巨人（９０③～９６）－近鉄（９７～０４）－楽天（０５～０８）
１０１２試合　８８３安打　１３１本塁打　４６３打点　２８盗塁　打率.２７３
オールスター１回
近鉄の主力だったが、２００４年はアキレス腱を断裂して一試合の出場に終わる。同年の分配ドラフトで楽天に移籍。一説によると、藤井や吉岡はオリックスのプロテクトを拒否して楽天へ敢えて移籍したとも言われている。創設初年度は開幕から代打要員だったが、６月８日には代打で中日高橋聡から球団初のサヨナラタイムリーを打つなど徐々に調子を上げ、中盤には三番ファーストの定位置を確保する。最終的にはチームトップの打率二割八分をマークしていた。２００８年限りで退団し、２００９年にはメキシカンリーグで一年間プレーした。翌年メキシコ国内のアカデミーで指導者に転身し、２０１１年以降はＢＣリーグ、四国独立リーグで指導者としてのキャリアを積んでいる。高校時代には甲子園決勝で仙台育英の大越に投げ勝つなど、投手として期待されていた。（Ｈ）

左から
０５年　№１０８（楽天移籍後最初のカード）
０５年　ＩＬ１２

◆９　高須洋介
近鉄（９８②～０４）－楽天（０５～１３）
１１３４試合　９２５安打　１９本塁打　３３１打点　６７盗塁　打率.２６８
▽金沢高、青学を経て近鉄に入団。近鉄時代はレギュラーをつかみかけたものの、怪我や病気で出場機会は得られず、分配ドラフトで楽天に移籍した。移籍を機に、趣味のゴルフのスイングを取り入れた「旋回打法」を習得、打力で創設初年度開幕からレギュラーをつかんだ。チャンスでの異常な強さには定評があり、野村監督にも「こんな選手は初めて。」と言われ、ケガで欠場した試合ではよく代打に起用されていた。その勝負強さがもっとも際立った試合は、２００９年仙台で迎えたホークスとのＣＳファーストステージ第一戦、久々に一番で出場した試合で、気温が上がらない秋の仙台では球威がなくなる杉内のストレートがこの日は走っていたことから速球で押してくることを読み切り、レフトスタンドに先頭打者本塁打を記録、これでチームは勢いに乗り、二連勝でファーストステージを突破している。２０１３年限りで退団し、他球団でコーチを務めているが、家族を仙台に残して単身赴任している模様である。（Ｈ）

左から
０５年　№１０９（ファーストカード）
０５年　№１８７

◆１０　一場靖弘
楽天（０５自～０８）－ヤクルト（０９～１２）
９１試合　１６勝　３３敗　１Ｓ　０Ｈ　防御率５.５０
▽明治大学からドラフト一巡目で楽天に指名され入団。制球が不安定だったものの、最速１５０キロ超の速球で一年目から一軍に定着。チーム状態が上向かない中開幕から七連敗と新人記録を残してしまったが（翌年松崎が八連敗で更新）、８月２７日のライオンズ戦では勝ち投手になれなかったものの、九回を無失点に抑え、相手投手西口の完全試合を阻止した。九月には初勝利を含む２勝をマークし、翌年も７勝（１４敗）を記録するなど、チームの中心選手になりつつあった。しかし、この年のウィンターリーグで肘を痛め、その後も股関節を痛めるなどして失速。山崎武司に、普通に投げさえすれば軽く１０勝はできると言われた才能を浪費してしまった。また、レーシック手術後に静養せず失明寸前になったり、食生活に甘さがあるなど、コンディションに対する意識が低かった点も大成できなかった一因と言われているが、好調時の圧倒的な投球は田中将大や岩隈に劣らないものだった。現在は元投手コーチの紀藤が経営に参加している会社で勤務している。（Ｈ）

左から
０５年　№１１１（ファーストカード）
０６年　ＴＳ６
０６年　Ｓ１１（パラレル版）

◆１１　ロペス
楽天（０５）
１１８試合　７５安打　１２本塁打　４９打点　打率.２２３
▽ブルージェイズ、エクスポズでプレー後、２００５年楽天に入団。元々はアメリカで期待の若手だった時期もあり、日本での前評判は悪くなかった。開幕から四番に座り、仙台の開幕戦では本塁打も記録、翌日の試合では松坂から決勝タイムリーを放つなど、序盤は期待に応えていた。しかし、その後極度の不振に陥り、後半戦は酒井にポジションを奪われた。最終戦でも代打本塁打を放ち、１２本塁打をマーク、得点圏打率も３割１分を越え、翌年は成績が向上する期待もあったが一年限りで退団。ドリフのテーマの応援歌、広島戦で三塁打を打って全力疾走した際の「誰か酸素マスクをくれ。」のコメント、毎日楽しそうにプレーしていた姿が印象に残る。楽天退団後はニューヨーク近郊の独立リーグチーム、ブルーフィッシュで長年プレーし続け、４０歳を越えた今も現役である。同リーグのオールスターゲームにも何度か出場、２０１４年には同球団通算安打記録を更新し、同球団殿堂入りを果たした。アメリカでは打率３割前後の中距離ヒッターの成績を残しており、これが本来の姿かも知れない。（Ｈ）

０５年　№１１３（ファーストカード）

◆１２　小山伸一郎
中日（９７①～０４）－楽天（０５～）
▽三重県出身。ドラフト一位で中日に入団したが、イップスや制球難に苦しみ、２００５年に楽天に移籍。楽天でも当初は結果を残せなかったが、２００７年に唯一の抑えだった福盛が肘痛で離脱し、後半戦から抑えに定着、プロ初セーブを挙げ、シーズンでは１６セーブをマークした。この年は高速シンカーをマスターした上、福盛が離脱したことで抑えが小山以外いなくなり、良い意味で開き直れる状況だったとインタビューで語っていた。以降、明らかにプレッシャーに強くなり、２００８年から５年連続で５０試合以上に登板し、球団創設時からもっとも長く在籍している投手になった。度入りのゴーグルと一年中半袖のアンダーシャツを着用していたが、半袖のアンダーシャツについては、田中将大に「右肘に悪いに決まってる」とダメ出しされ長袖を着るようになっている。以前、ファンが間違えてカツノリのカードを小山に出してサインをせがんだため、それ以来ベースボールカードにはサインをしなくなった。（Ｈ）

０５年　№１１４（ファーストカード）
０８年　№８０
０８年　ＣＬ１０

◆１３　ホッジス
ヤクルト（０１～０３）－楽天（０５）
８２試合　２９勝　３２敗　０Ｓ　０Ｈ　防御率４.６３
最多勝１回　月間ＭＶＰ１回　オールスター１回
▽２００１年途中から２００３年までヤクルトでプレー、２００４年には韓国三星ライオンズでプレーしていた。２００５年楽天の創設に伴い入団、開幕からローテーションを守り続けたが、球威もすでになく、勝ち星には恵まれなかった。後半戦はパ・リーグの打者にも慣れられて背信の投球が続き、８月２７日ライオンズ戦、一回５失点でノックアウトされ、１２敗目（２勝）を喫したところで田尾監督から戦力外を示唆するコメントが出され、以降の登板もなく退団した。翌年はロペスも在籍していた独立リーグ・ブルーフィッシュでプレーしたが一年で退団、現在はライオンズ編成渉外担当などを務めている。ブルーフィッシュが属しているアトランティック・リーグはおおむね毎月２０００ドル前後のサラリーが保障され、この他に食事代も付くなど、他の独立リーグよりも恵まれた状況で、最近では坪井などもこのチームでプレーしていた。（Ｈ）

０５年　ＩＬ５（楽天移籍後最初のカード）写真右側

◆１４　山﨑武司
中日（８７②～０２）－オリックス（０３～０４）－楽天（０５～１１）－中日（１２～１３）
２２４９試合　１８３４安打　４０３本塁打　１２０５打点　打率.２５７
本塁打王２回　打点王１回　最多勝利打点１回　ベストナイン３回　優秀JCB・MEP賞1回
月間ＭＶＰ３回　オールスター６回　オールスターＭＶＰ２回　
▽中日からオリックスにトレードされ、２００４年に自由契約となり引退を決めていたが、田尾監督、高校の先輩工藤の勧めにより現役続行。初年度春のキャンプで他の若手が一年間プレーするための調整が全くできていなかったことからやれる手応えを感じたという。初年度開幕からスタメンに座り、１１年まで四番を務めた。創設当時の球団はオリックスからの移籍組、近鉄からの移籍組、その他の移籍組などの三派閥に分かれ、互いに口も利かない状態だったが、救援に失敗した試合後にへらへら笑っていた福盛とバスの中で乱闘するなど、チームをどうにかまとめようと苦心し、当時球団運営の素人だった楽天に設備改善の交渉役も務め、意識の低い若手選手の指導も行っていた。中学時代に県内相撲大会で優勝し、相撲部屋からもスカウトされ、プロ野球相撲大会でも二年連続優勝、対戦相手の日ハム片岡の肩を脱臼させ、大会を打ち切りに追い込んだパワーを発揮し、楽天在籍時は球団最多の１９１本塁打を放った。広い宮城球場を本拠地に持つ楽天の選手では、外国人選手を含めて年間40本塁打どころか30本塁打を記録した選手すらいない。中日で引退した後はレーサーに転身したが、仙台で監督就任を期待する声は多い。（Ｈ）

左から
０５年　№１８８（楽天移籍後最初のカード）
０６年　ＴＰ１２
０６年　№１３８

◆１５　関川浩一
阪神（９１②～９７）－中日（９８～０４）－楽天（０５～０７）
１４０８試合　１１２９安打　２４本塁打　３２４打点　打率.２８６
ベストナイン１回　オールスター２回　JA全農Go・Go賞１回
▽阪神、中日を経て２００５年に楽天に移籍。オープン戦で活躍し、センターの定位置をつかむ。千葉ロッテとの開幕戦では一番センターで出場、楽天の選手で最初に打席に立ち、最終的に規定打席には到達しなかったものの打率二割八分をマークした。２００７年に現役を引退、楽天や韓国ＳＫを経て、阪神のコーチを務めている。打席に入った際の「せきさん」コールは鉄平、渡辺直人を経て西田哲郎に引き継がれた。（Ｈ）

左から
０５年　№１９０（楽天移籍後最初のカード）
０６年　№４６

◆１６　沖原佳典
阪神（０１⑥～０５）－楽天（途０５～０８）
３６６試合　２５３安打　８本塁打　７６打点　打率.２５６
▽阪神で２００１年からプレーしていたが、鳥谷の台頭により出場機会を失い、２００５年６月に前田忠節とのトレードで楽天に移籍、移籍当日に一番ショートでスタメン出場し、レギュラーに定着する。九月に右肘の故障で離脱し規定打席には達しなかったが、打率三割一分三厘の成績を残し、百敗阻止に大きく貢献した。翌年以降は右肘の故障、塩川、西村、渡辺直人の台頭で出場機会を失い、２００８年限りで現役を引退、翌年から球団職員を経て、二軍コーチなどを務めている。（Ｈ）

左から
０５年　№１９１（ファーストカード）
０６年　№４８

◆１７　中村武志
中日（８４①～０１）－横浜（０２～０４）－楽天（０５）
１９５５試合　１３８０安打　１３７本塁打　６０４打点　打率.２４２
最優秀バッテリー賞２回　月間ＭＶＰ１回　オールスター８回
▽中日、横浜を経て、２００５年楽天に無償トレードにより移籍。セ・リーグでの経験が豊富なことから交流戦ではよくスタメンで出場し、最終的には藤井に次ぐ６４試合に出場している。しかし、シーズン終了後なぜか自由契約となりそのまま横浜のコーチに就任したのは、翌年から指揮をとった監督に配慮しての人事なのか。その後、中日、韓国起亜タイガースのコーチを務めている。（Ｈ）

０５年　№１９２（楽天移籍後最初のカード）

◆１８　福盛和男
横浜（９５③～０３）－近鉄（０４）－楽天（０５～０７）－楽天（０９～１０）
４１４試合　４１勝　４５敗　８２Ｓ　１７Ｈ　防御率３.６５
オールスター２回
▽横浜、近鉄でプレーし、２００４年の球界再編により、分配ドラフトで楽天に入団。近鉄最終年に抑えを務めていたことから、四月には抑えに定着し、初年度は１１セーブをマーク、チーム二位の４勝を記録した。２００７年中盤に右肘の痛みで離脱するまで抑えを担っていたが、翌年はポスティングでレンジャーズに入団した。メジャーで実績を残せず、２００９年６月、楽天に復帰。３５試合に登板、７勝（１敗）４ホールド、１０セーブをマーク、セーブ機会を逸したのは一度だけで、その試合も最後まで投げきり勝利投手になるなど、球団初のＣＳ進出に貢献した。しかし、ファイターズとのＣＳ第２ステージ第一戦では四点リードの９回裏に３９度の高熱をおして登板、連打を浴び、最後はスレッジにサヨナラ満塁ホームランを打たれ逆転負け。最後に神通力が切れ、チームは第２ステージで敗退した。この試合の投球は、あまりに劇的な展開だったことから「福盛の２１球」として一部のファンの間で語り草となっている。救援失敗後にバスの中で山崎と乱闘したり、チームの和を乱すとして一度は野村監督に再入団を拒まれるなど、問題の多い性格だったようだが、創設当時の救援陣の大黒柱だった。楽天在籍時に挙げた59セーブは球団史上最多。現在は叔父の経営する関連会社で要職に就いているという。（Ｈ）

左から
０５年　№ＣＬ６（楽天移籍後最初のカード）
０６年　№４４
０６年　Ｓ３６

２００６年（有銘兼久、フェルナンデス、鉄平、リック、吉田豊彦、愛敬尚史、藤井彰人、Ｒ・グリン）～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

◆１９　有銘兼久
近鉄（０２③～０４）－楽天（０５～１２）
３０３試合　９勝　３４敗　６Ｓ　５７Ｈ　防御率４.５３
オールスター１回
▽大仙、九州三菱自動車を経て近鉄に入団したが三年間で未勝利（６敗）に終わり、分配ドラフトで楽天に移籍。初年度から中継ぎや先発で起用され、プロ入り以来９連敗で迎えた７月３１日ライオンズ戦でプロ初勝利を完封で飾り、初年度は４完投、３勝をマークした。翌年も勝ち星には恵まれなかったものの、８月２５日ロッテ戦で延長１２回１８８球を投げきり、レインボースライダーを武器に１７奪三振を記録するなど沖縄出身らしいタフさを見せた。翌年以降は指の怪我により長いイニングを投げられなくなったが、中継ぎに転向、２００９年にはオールスターにも出場している。２０１２年限りで自由契約となり、現在は球団職員兼ジュニアコーチとして在籍。（Ｈ）

０６年　№４７（ファーストカード）

◆２０　フェルナンデス
ロッテ（０３）－西武（０４～０５）－楽天（０６～０８）－オリックス（０９）－西武（１０途～１１）－楽天（１２）
▽ドミニカ共和国出身。エクスポズ、エンゼルスでプレーした後韓国球界、ロッテ、西武を経て２００６年に楽天に入団。２００８年まで楽天でプレーし、打率三割を二回マーク、本塁打も計６８本塁打を記録している。その後、オリックス、西武を経て２０１２年に再度楽天でプレーしたが、三本塁打に終わった。翌年オリックスでプレーした後は日本球界ではプレーしていない。失策が多く、２００７年には一塁と三塁で共に１０失策以上を記録しているが、打撃は勝負強く、２００６年５月２０日巨人戦で豊田から放った球団史上初の逆転サヨナラ（スリーラン）ホームランは球団創設期のハイライトだった。２００７年頃からインタビューでスピリチュアルな発言をするようになり、日本人選手も影響されていた。

左から
０６年　№１４２（楽天移籍後最初のカード）
０６年　ＯＰ１２
０６年　ＢＬ６

◆２１　鉄平
中日（０１⑤～０５）－楽天（０６～１３）－オリックス（１４～）
▽大分県津久見高、中日を経て、２００６年楽天に入団。打球を処理する際に転倒したり、状況判断に欠けたプレーを連発して野村監督に「あの子はちょっとおかしいね。」と言われたが、辛抱強く一番センターで起用され、打率三割を記録している。２００９年には三番に定着し、打率三割二分七厘の成績で首位打者のタイトルも獲得したが、２０１１年の統一球導入後は低迷した。２０１４年からはオリックスでプレーしている。楽天在籍時に記録した８８０安打は球団記録で、オリックス移籍時の記者会見では「楽天での八年間は野球人生の全てだった。」と語っていた。