メトロポリタン美術館所蔵

『リュートを調弦する女』
製作年代 1663〜65年頃
技法   キャンバス、油彩
サイズ  51.4×45.7cm
鑑賞日  2008年 8月10日(上野)
     2009年 9月20日(現地)

 鑑賞番号 19
 東京・上野で開催中の大フェルメール展に出品。
 日差しを気にして窓側を向きながらの調弦という仕草が良い。カーテンの陰が自然で何だか写真絵を見ている感じ。リュートは女性が弾いているからすぐ分かったが、画面下にヴィオラ・ダ・ガンバが置かれているのは、解説を読むまで気付かなかった。フェルメールの絵画では、床に楽器が不自然においてある(ように見える)作品がいくつかある。
 収蔵されている美術館は、アメリカ・メトロポリタン美術館。
 アメリカを訪れるのはいつになるか?

追記
 ワシントンで再会。やはり、東京の企画展で混雑した中での鑑賞よりも、人の少ない中で見た方が印象が良いに決まっている。画面手前に描かれている空いた椅子、女性が窓の外を気にしているしぐさなどから察すると、これから訪問者が現れそうな雰囲気である。
 リュートを伴奏楽器として演奏会でもするのか? 歌でも歌うのであろうか? 私なら、部屋を少しでも片付けたり、飾ったりするのであるが。


『眠る女』
製作年代 1656〜57年頃
技法   キャンバス、油彩
サイズ  87.6×76.5cm
鑑賞日  2009年 9月20日(現地)

 鑑賞番号 24
 最初、この絵を見たときは、家事に疲れた女性が、昼時にうたた寝している場面って思ったが、実はそうではないらしい。テーブルの上には、2つのワイングラスが描かれていて、そのうちの1つは転がっている。つまり、この描かれた女性は、ワインを飲んでいて、そのまま机に向ったまま眠ってしまったらしい。解説によると、描かれている果物籠は、性的な堕落を示唆するものとして描かれているのだという。家庭の主婦として、「こうなっては駄目だ」という戒めの絵画であるのだろうか。 室内の女性を描いた作品のうち、初期のものである。

『少女』
製作年代 1668〜69年頃
技法   キャンバス、油彩
サイズ  44.5×40cm
鑑賞日  2009年 9月20日(現地)

 鑑賞番号 25
 『真珠の耳飾りの少女』と同じように、肖像画であるかのようだ。ただし、特定の人物を描いたというわけではなく、最近の言葉で、トローニーというらしい。
 無地の暗い背景に少女をの上半身のみを描いていて、モデルはこちらを向いてポーズをとっている。
 『真珠の耳飾りの少女』と比べられること自体、大変酷だと思うのだが、はっきりいって評価は高くない。

『窓辺で水差しを持つ女』
製作年代 1662〜65年頃
技法   キャンバス、油彩
サイズ  45.7×40.6cm
鑑賞日  2009年 9月20日(現地)

 鑑賞番号 26
 画面左側から光があたり、そこに日常生活を営む女性が描かれているという、フェルメールによくあるパターンの作品。描かれている水差しは、純潔、節約の象徴とされている。一方、テーブルの上の宝石類は、虚栄の象徴とされて描かれることが多い。つまり、この女性は、これから先、純潔、節約といったものを捨てて、虚栄の方向へと進もうとしているのではないかと解説されている。

『信仰の寓意』
製作年代 1673〜75年頃
技法   キャンバス、油彩
サイズ  114.3×88.9cm
鑑賞日  2009年 9月20日(現地)

 鑑賞番号 27
 メトロで最後に紹介する作品。構図としては、絵画芸術に似ている。一般的に、地球儀の上に片足を乗せている場面を描くなんてあり得ない。まあ、普通に考えて、寓意をテーマに扱った作品なんだろうと予想がつく。
 なんて考えていたら、片足を地球儀の上に乗せ、片手を胸に当てる女性の姿は、新興の寓意像であるとのこと。また、りんごが1個、画面の手前に転がっているが、これも、原罪の象徴であるという。さらに、ヤコブ・ヨルダーンスの『キリストの磔刑図』が、飾られている。もう、何か寓意ばっかり描かれているといった感じ。
 それと、私が1番疑問に思ったのが、この作品の評価が非常に低いということ。細かいところまで描かれている部分はあるが、全体として、女性の体の構造が不自然に描かれた部分があるということが理由のようである。『絵画芸術』が、仕上がりが最高と讃えられているのにこの差は何だろう?


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